2005年9月20日

ドイツへ来てから15年間、様々な選挙を観察していますが、9月18日に投票が行われた、ドイツ議会選挙ほど、混沌とした選挙は見たことがありません。まず地方選挙で5月に惨敗したシュレーダー首相が、党内の支持が得られないと思ったことから、自ら自分に対する不信任案の決議を議会で通過させ、大統領に要請して議会を解散させ、1年間前倒しの選挙を行うという始まりが異例でした。

選挙戦当初は、45%前後だったCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)への支持率は、メルケル党首とシュレーダー首相のテレビ討論などを経て、まるで氷が溶けるように見る見るうちに減って行き、結局2002年の選挙を3ポイントも下回る35・2%という低さになりました。FDP(自由民主党)と組んでもこれでは過半数が取れません。

一方のSPD(社会民主党)は予想通り大幅に票を減らして34・3%になり、これまた緑の党と合わせても、過半数を取れません。しかし、シュレーダーの人気低落にもかかわらず、2002年の選挙での得票率にも届かなかったメルケルも「敗者」です。

シュレーダー、メルケルともに勝利宣言をするという、かつてのブッシュ大統領の1期目の選挙を思い出させるような、奇妙な状況です。

現在ドイツでは、CDU・CSU・FDPがSPDと組んで大連立政権を作るのか、それともCSU・CDU・FDPが緑の党と組んで政権を作るのか、水面下で激しい交渉が行われています。しかし、交渉が長引けば長引くほど政治の空白が深刻化します。ドイツの閉塞状況を象徴するような選挙結果であります。

今回の選挙の背景などについては、今後発表します原稿をご覧下さい。